「ハイレベル塾」は「どうなっていくか」、実例。中学受験、大学受験

前回は次のような「図」を挙げました。ちょっと抽象的だったかもしれません。今回は、その実例のお話をします。

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上記の「図」のようになった実例。
1つ目。
わたしの実家エリアには、ある国立大学の付属中があります。
そしてXという塾があり、わたしの世代では、その国立大付属中にいきたいならX塾にいくべきだという状況でした。
X塾は、某国立大学の付属中の実績を売りにしていました。(現に実績がありました。)
また、当時は、公立小学校の上位数人しか中学受験はしない中学受験をする子=地元小の最上位の数人、そういう状況でした。
しかしこのX塾現在、生徒数はかなり少なく、某国立付属中への実績あきらめ「補習塾レベル」になっています。
わたしたちより5歳くらい下の世代のころに、このX塾の実績はゆるやかに落ち始めました
そして私達の10歳くらい下の世代になると実績がはっきり落ちました
最盛期は、公立小学校で1ケタの順位の子たちしかおらず、「国立付属のXX中学にいくなら、X塾」と呼ばれていた塾が、いまは補習塾と化しています

2つ目の実例として、中学受験、開成中学実績を誇っていたTという塾の話をします。
(T塾という表記にしていますが、私立の学校みたいな名称の塾です。)
主に都内に校舎をもち、当時開成中学への実績を誇っていました。
T塾に入るため、またT塾の補習のための塾などもありました
当時はT塾に行っていると、それ自体がちょっとステータスでもありました。
しかし、このT塾も、まず講師の移籍、独立などがおきました。
それも、講師として脂ののっている世代の人が独立するなどしました。
この塾の社会科の名手で、脂の乗っている年齢でこのT塾をやめて家庭教師センターをはじめた人を知っています。
一時期、わたしはこの人がT塾から独立してつくった家庭教師センターから、仕事をうけて仕事をしていました。
その家庭教師センターの代表は、元・T塾社会科のエース級の人です。講師としてちょうどいい年齢のときに、T塾をやめ独立しています。
このように、講師の独立がおきます。
そして、T塾から上位の生徒さんが段々に他塾に抜けていきました
そして、実績は下がっていきではT塾は忘れられたような存在になっています。

3つ目の例として、中学受験のT2塾の話。
上のT塾とは無関係です。
このT2塾も、開成中学への実績を誇っていました。
このT2塾の最盛期のすごさは、T2塾一番上のクラスにいて、2月1日に試験日がある学校以外に進学することかなり少ない
このT2塾で一番上のクラスにいて、2月2日や2月3日が試験日の学校にいくことになると、かなり残念、そういう塾「だった」ことです。(*筑駒中=2月3日が試験日、を除く)
しかし、このT2塾の場合かなり大規模な分裂が発生します。
それなりにT2塾内部で評価されていた講師たちがやや大規模に独立の動きをしました。
ですが
講師独立するタイミングきれいだったとはいえない
事前にこぞって退職するような動きをしていた。
T2塾の生徒に、別の塾(「独立後」の塾)についての告知をした
テキストが、T2塾独立組の塾でもかなり似ている。(「元の」塾とテキストがかなり似ている)

このような独立劇でした。
T2独立組(分裂組)はのちに、Sという塾作りました
T2塾からみれば、この独立は、「独立組」(=S塾)が講師を持っていった(示し合わせて退職)、生徒を持っていった(独立後の塾についての告知を生徒にした)、テキストを持っていった(テキストが似ている)、そう見えるものなので、この独立劇は、T2塾がS塾を訴えるという裁判に発展しました。
(現在のT2塾の実績はがさびしいものになっています。)
T2塾は、最盛期「T2塾の一番上のクラスにいて、御三家+筑駒以外になったら、かなり残念。(どうしたの?)」
そういうものでした。
独立劇の時点で、T2塾からは最上位層の生徒さんが流失しました。

(ただ、T2塾から講師が独立するタイミングがきれいだったとはいえない。事前にこぞって退職するような動きをしていた。T2塾の生徒に、別の塾(「独立後」の塾)についての告知をした。テキストが、T2塾独立組の塾でもかなり似ている。
そのため、この独立劇は、T2塾がS塾を訴えるという裁判に発展しました。)

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この3つの例で見るように
(A)
有力講師の独立(分裂、引き抜き)
最上位生の流失「もっと専門性のある塾」へだまってシフト

(B)
有名塾は、それまではいなかった層の生徒の数なんとかする


(C)
有名塾の没落

こういう法則性がありますよね。
自分がいっている塾(B)になりかかっているのではないか、その判別基準は1つには、「有力講師が消えていないか?」
もう1つは、その塾の中での最上位校の基準偏差値上昇していっていないか?
判別基準はこの2つになります。
その塾の中での最上位校の基準偏差値上昇していった場合は、上位層が抜けて下位層が増えている
その塾は、「普通の公立中学生の集団」似たようなレベルなっていっている、こういうことです。
東大、上位国立大学の医学部、筑駒、開成、このあたりの「その塾」での合格基準偏差値60をはっきりオーバー合格基準偏差値70
こうなっていたら、その塾は「普通の公立中学生の集団」とほぼ同じです。
(B)「それまではいなかった層の生徒の数でなんとかする」の状態になっています。)

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 *当ブログの筆者の略歴;一橋大学・卒。プロ家庭教師。講師歴サピックス駿台予備校、医学部専門予備校、など合格実績東大、京大、大阪大学(医・医)筑駒中開成中学、など。

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