東大の現代文の問題を本文と設問両方掲示します。
1970年以降の減反政策の進行は、稲作を中心に発展してきた日本農業にとって重大なキロであるが、水田を中心とした水循環にとってもキロとなっている。
減反の対象となった水田の周辺では、地下水位が下がっている例もある。
水田は稲作の場であったのみならず、日本列島の自然の水循環によく適合した土地利用を維持してきたのである。
水田の宅地化が氾濫水害をジョチョウして都市水害を激化させたのも、水田が洪水の遊水地的役割を果たしていたことを裏書きしている。
農村の農業用水路は、決して農業用水のためばかりではなかった。
農村の人々はその用水路の水を飲料や家事用水に、さらに防火用水にも利用していた。
したがって用水路の水質にも水路維持にも留意し、その管理も行き届いていたのである。
だからこそ、農村を流れる水路の醸し出す風景は一幅の絵画たり得たのであると思われる。
農業用水路は今日的表現を借りれば多目的水路である。
しかし、おそらくかつての農民にとっては水路は多目的という表現は似つかわしくなかったであろう。
自然との付き合いは指折り数えて目的を計量する性格のものではないからである。
農村に水道がフキュウし、近代的消防施設も整い、農村の日常生活が都市化されるにつれ、農村社会における自然とのつきあいも都市的、近代的、計量的にならざるをえなかった。
農村は生活の効率化、合理化という都市化とひきかえに、自然との協調、融合を犠牲にしているのである。(本文いったんここまで)
設問;なぜ「一幅の絵画たり得た」のか、説明せよ。*解答欄は13.5センチ・1行。
<赤本>
水路が農村生活と融合し、美しく保たれていたから。
<本文をちゃんとみる・設問解析>
だからこそ、農村を流れる水路の醸し出す風景は一幅の絵画たり得たのであると思われる。
「だから(こそ)」、つまりほぼ直前に「理由」いってありますよと文がいっている。
正確に考えればまずそこをまとめるんだな。となる。
「農村の農業用水路は、決して農業用水のためばかりではなかった。
農村の人々はその用水路の水を飲料や家事用水に、さらに防火用水にも利用していた。
したがって用水路の水質にも水路維持にも留意し、その管理も行き届いていたのである。」
そして、農業のことをいっているが農業だけじゃない、そういう論立てになっている。
<赤本>
水路が農村生活と融合し、美しく保たれていたから。
この「答え」?は後半にも重大な問題点がある。
「美しく保たれていた」
「それがなぜ?」と聞かれている。
なのに、理由を答えていない。
論理的に、問いに「応じて」いない。
*わたしは、こういうのを「バカ文」と呼んでいます。
(*また、「美しく」はどっから来た?
著者は美しくということは言っていない。
勝手な作文)
それよりきちんと正確に考える。
だからこそ、農村を流れる水路の醸し出す風景は一幅の絵画たり得たのであると思われる。
「だから(こそ)」ほぼ直前に「理由」いってありますよと文がいっている。
正確に考えればまずそこをまとめるんだな。
「農村の農業用水路は、決して農業用水のためばかりではなかった。
農村の人々はその用水路の水を飲料や家事用水に、さらに防火用水にも利用していた。
したがって用水路の水質にも水路維持にも留意し、その管理も行き届いていたのである。」
問題になってくるのは、解答字数。
約14センチ弱・1行だけ。
また、「一幅の絵画たり得たのである」これの「理由」をちゃんと文中から探す。
赤本のように勝手に作文はNG。
・水路の利用の幅がある。
・だからその管理も行き届いていたのである
・農業だけじゃない。
<自作・答え>
農村の水路は農業と生活に密接し、よく管理されていたから。
<赤本>
水路が農村生活と融合し、美しく保たれていたから。
*1;「美しく」ってどっからきたんだ?
*2;「美しく保たれていた」。それが「なぜ」って聞かれてる設問なんだけど?
論理的に、問いに応じてない。バカ文。
*(さらに)「農村生活」まとめすぎ。本文は“農業だけど、農業だけじゃないよ”って論立てだった。飲み水、防火水の話どこにやった?
これで、過去問=赤本。解答例を自分でつくらない。本気の指導者がそんな状態になります?(自分で解答例を作らない、過去問=赤本、そんな「真剣な指導者」はありえますか?)
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*慶応大学は、医学部(医学科)合格8名を含む。
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