無能な指導者は、「基礎が大事(総論)」「質より量」「慣れ」と言う。
指導者、勉強法のライター、教員の口から、この3つのどれかが出てきたら、無能だと思ってください。
(といいますか、そういうことをいう指導者は受験に関して「無能です」。)
まず「質より量」について。正確には量ではありません。
「いままでやったことのないものは、基礎をスムーズに運用できるようになるまでにも時間がかかる」です。
中3、高1以降でいうと、数学、物理ですね。(英語も)
物理で、運動エネルギーでいった方がうまくいくのか、それとも力積なのか、とか。
数学では、センター試験の数学1Aの後ろの方の問題なんかも、すらすら解けるようになるにはわりと時間がかかります。
同じく、数学では、「解の配置問題」。問題文は似ているのにあるときは解と係数の関係を使い、あるときは(急に)f(-1)・f(1)<0を持ち出したり。
または、絶対値記号が入っている問題で、あるときはただの「折り返し」になっているのに、別のときは折り返しではなかったり。
または最小値、最大値の問題で、模範解答はなぜか急に「シュワルツの不等式」が出てきて、あっという間に解答が終わっていたり。
(a2+b2)・(x2+y2)、(ax+by)2の形の式がなぜか急に出てくる解答。(←シュワルツの不等式)
または、ある角度のsinかcosの値を出すときになぜか3倍角の公式が出てきたり。 tan2θのことを考えていたのに、解答ではいつのまにかcos2θが出てきたり。
こういったことがスムーズに出来るようになるのに「時間がかかる」。
量というより時間がかかる、です。
(1)完全に基本の解説⇒(2)教科書レベルの基本問題⇒(3)非受験学年用の基本問題⇒(4)受験のやさしめのレベル。
この(3)までは「時間がかかります」。(かかっても構いません。)
((3)⇒(4)の段階では、演習量はあった方が良いです。)
(ノーヒントで適切な解法を自力で選択できるように、その演習です。その練習はそれなりに「やる」必要があります。)
なお、最上位以外の一貫校だと、「量」重視になって、身についていないのに浴びせてくる授業になったりもします。あれも、「量」妄信です。
生徒は実際には(2)教科書レベルの基本問題⇒(3)非受験学年用の基本問題、この段階なのに、受験に近いレベルのものを浴びせてきたりする。
そうして、まあまあ上位の一貫校の生徒なのに、数学がかなりバタバタになる。または「数学捨てようかな・・・」、こういう人がけっこう多く出てきてしまう。
(事実上は、そこそこレベルの一貫校の被害者です。どうしてそうなるのかというと、教師が(3)非受験学年用の基本問題、ここまでは理解に時間がかかるというのを分かっていないから。)
もっとだめなのは、「慣れ」。 「慣れればいい」 「解法の判断基準は、慣れればわかる」。 これ聞かされて、何か役に立ちますか?
(こういうことを言うのは、プレーヤーとしても3流の筋肉バカです。)
*当ブログの筆者の略歴;
一橋大学・卒。(+東大・理2、再受験で合格。親に止められ入りなおし進学は出来ず。)
プロ家庭教師。
講師歴;サピックス、駿台予備校、医学部専門予備校、など。
合格実績;東大、京大、阪大(医学部・医学科)、名古屋大学(医・医)、東北大学(医・医)、九州大学(医学部・医学科)、筑駒中、開成中学、麻布中、駒東中など。
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