<自作の解答例>*このあとに某大手予備校の解答例とその採点を載せておきます。
(1)アメリカでは、人種問題〔2点〕の格差是正措置〔1点〕をした自由競争であると信じられ〔1点〕、格差は不平等な社会のせいではないとなり〔1点〕、社会批判や変革に関心は向かない〔1点〕から。
(2)自己責任とは〔1点〕外部条件と無関係〔1点〕の<個人>の自由意志〔1点〕を前提とする〔1点〕が、その自由意志は、遺伝や社会の影響など外部条件によっても形成されていて〔1点〕前提の<個人>が虚構〔1点〕だから。
(3)メリトクラシーが〔1点〕、虚構である自由意志〔1点〕を根拠に格差は正当〔1点〕であるとして、社会階層構造の再生産や固定化を隠し〔1点〕、正当化しているのが同じ〔2点〕であるということ。
(4)近代以前は、格差は神や自然などに投影され隠された〔3点〕。一方近代の平等とは、結果の差は自由意志と自由競争の結果〔3点〕で正当とされる〔3点〕。そして格差や階層構造の再生産はメリトクラシーによって隠される〔3点〕。不平等を隠すものがかわっただけだ〔4点〕。
★「採点して」何点でしたか?
27点/34点中、ほしい。(漢字は2点×3と想定。それを抜いた分で)
某予備校の解答例
(1)機会均等における自由競争下では現に存在する格差は個人の能力に帰せられ、是正のために社会を変える必要はないとされるから。
*「アメリカでは」の特徴(例外)の指摘が無い。
*アメリカ=人種問題があり(〔2点〕減点)
*それへの積極的格差是正措置をすれば不平等が解消され自由競争であると信じられ。
(〔1点〕減点、〔1点〕減点)
*格差は不平等な社会のせいではないとなり、社会批判や変革に関心は向かないから。(〔1点〕減点)
これらが「無い」従って、1点/6点。
(*6点-〔2点〕-〔1点〕-〔1点〕-〔1点〕)
<(1)の問題文・本文のロジック(実際そうかいてある)>
★アメリカでは、人種問題が存在⇒その積極的格差是正措置⇒不平等が解消された、自由競争であると信じられ⇒自由競争だから、格差は不平等な社会のせいじゃない(実は勘違いに近い。「罠」。)⇒(だから)社会批判や変革に関心は向かない。
(2)人間のあり方は全て外部に原因をもち純粋な内部などありえず、自由意志よって行為する主体としての個人は虚構だから。
*自己責任とは外部条件と無関係の<個人>の自由意志を前提。
*ここの指摘が無い。(〔1点〕減点、〔1点〕減点)
*自由意志は、遺伝や社会の影響によって形成されていて(指摘が甘い)
(〔1点〕減点)
従って3点/6点。(*6点-〔1点〕-〔1点〕-〔1点〕)
(3)能力主義は、現にある格差を平等な原理に基づく帰結だと納得させ、既存の社会構造を正当化し永続させるものだということ。
*「そうだ」の説明になっていない。(〔2点〕減点。)
*「~が・・・しているのと同じだ」のように書かないと、「そうだ」の説明にならない。
*メリトクラシーが、虚構である自由意志を根拠に格差は正当であるとして
ここの指摘が甘い
*社会階層構造の再生産や固定化を隠し、正当化
ここの指摘も(かなり)あまい。(〔1点〕減点)
従って、3点/6点。(*6点-〔2点〕-〔1点〕)
(4)近代は人間を自律した主体と想定し、神や自然を根拠とする身分秩序から解放して個人の努力次第で人生が決まる平等な社会をもたらしたかに見えるが、そのような人間観は虚構であり、現に存在する不平等を個人の責任に転嫁し正当化しているだけだということ。
*格差の正当化や差を隠す機能を果たしているものがかわっただけ。この指摘がない。
*「昔はAが格差正当化の機能を果たした。」「近代ではBが格差正当化の機能を果たしている。」機能を果たしているものがかわっただけ。こう書かないと、「設問に答えていない」。
*近代以前は、格差は神や自然などに投影され隠された。(ここの指摘がかなり甘い)〔2点〕減点
*一方近代の平等とは、自由意志と自由競争の結果、差ができる、だから格差は正当とされる。(この指摘が無い)〔2点〕減点
*そして格差や階層構造の再生産はメリトクラシーによって隠される(この指摘が無い)〔3点〕減点
*不平等を隠すものがかわっただけだ。(この指摘がまったくない)〔4点〕減点。
したがって、5点/16点。(*16-2-2-3-4)
★担当した生徒さんから連絡がありました。東大の文2を受けた生徒さん2人のうちの1人。予備校の解答例が、勝手に書いてませんか?勝手な作文に感じる。書き方もだいぶあまいように感じる、というように言ってきていました。そこで私が何も前もってはみないで解答を作成してみました。また某大手予備校の「解答例」を採点してみました。某大手予備校の「解答例」は、12点/34点ですね。英語と古文が易化したので、27点/34点中、ほしい。(のですが。)