「大学受験でうまくいっている人は先取りをしている。」
「市販の定評のある問題集を、先取りしてX周すればどこの大学でもほとんど受かる」
「学校の先生や予備校講師が先取りのことを言わないのはごまかしだ。」
こんなようなことを言っている、強調している受験関係者もいます。
なんか力んでいて、しかも現実を知らないんだなあ、と思います。
首都圏においては、もともとは公立トップ高受験者にとっての「最終すべり止め高」だった学校が、進学実績をだいぶ伸ばしていたりします。
そうなっている理由の1つは進度の速さ(≒先取り)。
もう1つも重要です、すべり止めでで入ってくるのはトップ高を目指した人たちで、学力が高いということ。
また「先取り」は私立の中高一貫校の人だけがやっているわけではありません。
日比谷高校、国立高校などの上位合格者も「結果的に」先取りをしています。
公立トップ高の上位合格者は、早慶の付属もわりと受けています。そしてそちらにも合格しています。
公立トップ高の上位合格者というのは、早慶の付属と都立トップ高(公立トップ高)を両方受ける、そして両方受かっている。
こういう人がわりといます。
そして早慶の付属に受かるには、英語のレベルおよび数学で高1レベルをやっていないと受かりません。
とくに数学では、2次方程式、場合の数、因数分解、確率で高校レベルの問題が良くでています。
英語についても、早慶の付属高が入試で出す本文のレベルは高校生レベル(高1レベル)です。
(*とはいっても、1.5年先、2年先をやっているということはほとんどありません。)
公立トップ高の上位合格者は早慶付属も受かっている、それにはこのレベルの問題が解けないと受からない。
ですからこのように「結果的に」公立トップ高上位合格者も、先取りをしています。
ただそもそも論として「先取り」とは、中学受験+関西で強調されているものです。
しかも間違って伝わっています。
関西で灘などに受かる12歳は算数、数学がすごく好きです。
そのため半ば放っておいても11歳くらいから中学や高校レベルのこともやり始めます。
それをみた一部の人が「先取りをすれば」「灘に受かる」こうとってしまいました。
(抽象的に言うと、「Qになっている人(灘中合格者)の中には、Pという条件(数学を自分で先までやっている)に合致している人が一定数いる」。
現実にはそちらなのに、それを「PすればQになる」と間違ってとらえている。)
「先取り」とはこういう誤解からスタートしている部分が多いものなのです。
(もし、塾関係者でこれがわかっていないのなら、不勉強です。情報収集もできていなさすぎです。)
大学受験において「先取り」だけ「を」重視するのは実戦的ではありません。
「先取りのことを言わない予備校講師や塾は、ごまかしをしている」と強調している塾が言っているプランが実行不能だったりもします。
「そのプラン、学校行っていたら無理だよね」
こうなっていることもありますから。
なぜかというと、関西のオリジナルの「先取り」論は、「灘中に受かるような子は「算数・数学」を自分で勝手に先まで好きでやっている」。
科目が算数、数学限定の話なんです。
それを多科目入試の大学受験に機械的にあてはめてしまっている。
だから「それ、高校いってたら実行不能じゃない?」
という先取り計画を言っていたりするのです。
わたしも、先取り的なことは指導しています。
しかしそれは「市販の定評のある問題集を、先取りしてX周」ではありません。