公立高校入試、都立高校・入試のシステム、大学入試。「教育の場で、あまり競争させるな、差を見せるな」「難問・悪問反対」。ズレた「理想論」。学校群・グループ選抜、センター試験の「しくじり」

高校とか大学という話になると
「教育の場において、なるべく差を意識させないシステムを作れ」
「受験競争加熱は回避するべきだ」
「入試で難問・悪問は出すな」
こんな感じの意見も少なくありません。
またそういった実際の動きもあったりもします。

たとえば、かつてはの話になりますが、
公立高校・都立高校入試における、「学校群」システム、グループ選抜(@東京都、兵庫県)。
または神奈川県のア・テスト
しかしこれらは目指した結果にはなりませんでした。

まず、東京都や兵庫県で、(かつて)公立高校の「群」システム、グループ選抜が実施されました。
これはけっきょく上位生の公立進学回避、私立の灘、同じく私立である開成のランクアップを引き起こしたと言われます。
(*時系列でみるとそうとしか見えない)
この方式の目的は、高校受験の加熱を抑えることでした。
(当時、多数ではないですが、日比谷高校に入るために引っ越しをしてくる家族もいた。*越境入学。)
(また一部の人からすると、都立高校、公立高校入試が「理想」像と比べると過熱しているように見えた。)
そして、地理的に近い公立高校を「群」とし、公立高校入試の結果などで、15歳の子たちを「同じ群のいずれかの高校に割り振る」基本的にこういう方式でした。
つまり特定の公立高校を受験するのではなく「群」を受ける。その後、「その群のいずれかの高校に割り振られる」。

したがって、上位の中学生からすると「自分のいきたい高校へいけない」。
まして自分が住んでいる近くなので「同じ群」の高校のランク差もよく知っている。
当時の都立高の「群」でいうと、都立日比谷高校と三田高校が同じ群でした。日比谷高校志望者が、三田高に回されたら、納得感は低いでしょう。
また親御さん方は、それだと有名公立高、都立高校のレベルが低下するだろうと予想していた。

その動きの前は、「日比谷高校に落ちちゃったから、仕方ないから早大学院にいく」といった人もいました。
また、進学実績も日比谷高校と開成高校では、日比谷高校の方が圧倒的に上でした。

公立高校の「群」システム、グループ選抜により(当時)東京都や兵庫県で都立高校・公立高校は「割り振り入学」方式になったこと、有名公立高のレベルが落ちるだろうという保護者の予想から、兵庫の上位層は灘高受験、東京(都内)の上位層は開成高校受験の流れが出来ました。
そして公立高(有名・都立高)は地盤沈下し、「できる子は私立高にいった方がいい(私立の一貫校にいった方がいい)」、というむしろ受験競争加熱の状況を生み出しました。
さらに、日比谷高校に関しては、武蔵高、開成高、(学芸大附属、教育大付属駒場・のちの筑駒高)などを第一志望にし、都立高校はすべり止めという受け方をする人が増えました。
そして「学校群」方式終盤では、日比谷高校からの東大合格者が「1人」までいってしまいました。
*日比谷高校の東大合格者数は、190人超⇒「1人」。
当時、都立日比谷高校で教鞭をとっていた人の中には、生徒の質・レベルがかなりかわって、やりにくかったといった感想を述べている人も複数います。
いま、灘高校開成高校進学校ですが、それは、こういった制度による公立高校の自滅によって発生した現象です。

(当時、都立日比谷高校で教鞭をとっていた人の中には、生徒の質・レベルがかなりかわって、やりにくかったといった感想を述べている人も複数います。)

また神奈川では、ア・テストの頃は、そもそも公立高校受験回避、といった流れもできていました。
中学2年からのまる2年間くらいが、受験を意識した管理された状態になるから。
内申点ア・テストの点数、公立入試と「ちゃんとやらないといけない」ものが多くなってしまった。
公立中学、公立高校受験でいく方が、中2以降の2年間なにかと「チェックポイント」がいつも設定されていて、管理されている形になる。
「だったら、中3で入試の1回で点数取れれば合格になる私立高受験の方が気が楽だ。」
この時期は、神奈川においては、公立高校受験回避といった状況もありました。
*中学受験の指導もけっこうな年数やってきたので知っているのですが、いま中学受験が盛んなのは、東京と神奈川です。

また、公立高校について「群」システム、グループ選抜が本当によいやり方であるなら、「群」システム、グループ選抜の修正はあっても、その制度自体をなくすなんてことはないはずです。
ですが実際には、

東京、兵庫の「群」システム、グループ選抜は廃止。

また埼玉県は公立高校に関して学区廃止。(以前は学区があった。)

さらに東京都の上位の都立高は、「独自入試問題」を作成。

神奈川の公立高入試でも、一部独自作成問題。

「群」システム、グループ選抜の方が望ましいとしてはじまったはずが、気が付いたら公立高校入試もそれとは真逆の形になっている。
そして私立高の方が進学実績がかなり上で、「できるなら私立の一貫校に中学から入っちゃった方がいい」。
つまりあれらの施策は、むしろ受験競争の低年齢化を生み出し、公立高校の地盤沈下を引き起こしました。
(そして現在は、かつての施策とは逆のシステムにしています。@東京都、埼玉県、神奈川県)

また、大学入試になると、「難問、悪問はいかん」。
しかしこれについても、難問、悪問の排除、大学のランキング化(偏差値による輪切り)を避けるためとして共通一次センター試験が始まりました。
ところがこれによってむしろ、「志望大学による得点差」が「はっきり」分かり、比較が可能になってしまいました。
難易度による輪切りはおかしい、それを防ぐといってはじまった。でもむしろ輪切りができるようになってしまった。
*1次試験の得点の本人への(公式の)通知は、わざとかなり遅くしていた。(国立大学の「輪切り」化防止のため)
*でも、大手予備校がセンターリサーチをし始めたので、共通の1次試験を導入したことでかえって「国立大学の序列化」が明確に可能になってしまった。
*「同じテスト」の合計点が出るようになってしまったから。
*むしろ国立大学の「比較」が可能になってしまった。
(ただ受験の実戦上は、最上位ランクの国立大学においては、1次試験ただの足切り回避ゲームです。)

「教育の場で、差を見せるな」
「教育の場において、なるべく差を意識させないシステムを作れ」
「難問は出すな」
そもそもこれらが、けっきょくはうまくはいかない方向性なのでしょう。

「難問、悪問反対」「出すな」などといっても、これもうまくはいかない。
一橋、京大、慶応・医学部、東京医科歯科大学は、英語、地歴、数学で「難問出すな」「変わった問題出すな」なんて無視してます。
東大も、数学・物理・化学・生物がかなり難化することもある。
慶応・経済は、英語を「国立2次じゃないか」という入試問題にしている。
慶応・経済のあの英語の入試は重いです。
そして慶応・法の地歴はカルトクイズ。
(受験生はやはり「難化」しても解けるようにしておいた方がいいでしょう。)

難問かどうか、悪問かどうかは事前に「防止」を考えても仕方がない部分が大きいと思います。

たとえば、ある大学の医学部の入試が、かなりひねった問題(≒悪問)が多い。
難易度としては高い。
でも、そこ出身の医者は変な人が多い。
ひねった問題を解く訓練「は」した人、それで終わっていて、医者の適性はないから。
仮にこうなっていったら、その大学は注目度が下がって、志願倍率も落ちていったりもするでしょう。

ですから、先回りして「難問・悪問は出すな」ということを考えたりするより、「指示」や「方針」は出さすに、淘汰に任せたらいいのではと個人的には思います。

なお都道府県によっては、公立高校教員の採用テスト担当科目のテスト)がだいぶやさしいこともあります。
あれだと、その県公立高校先生は、京大の数学一橋の英作文、和訳東大の数学とかをちゃんと解けない、まであると思います。

また、いまの公立高校については、やはり浪人率が高いのがよろしくないですね。

当ブログの筆者の略歴;
一橋大学・卒。(+東大・理2、再受験で合格。*再入学はできず)プロ家庭教師。
講師歴サピックス駿台予備校、医学部専門予備校、など。

<<当家庭教師センター全体での入試結果>>
2021年入試。

259人中。
東大87名合格。
国立大学・医学部(医学科)54名、合格
東北大学・医学部(医学科)、北海道大学・医学部(医学科)含む。
早稲田大学267人、合格(*複数学部合格をカウント)
慶応大学:178人、合格(*複数学部合格をカウント)
慶応大学は、医学部(医学科)合格8名を含む。

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